守護神!第一話
今から10年ほど前、夏もようやく終わり秋風が街路樹のイチョウ並木の葉を黄色に染めだす
そんな午後の出来事である。
千歳の駅前通り中心部の交差点、車で信号待ちしていたBさんは目を疑った!
「あれっ、何?」(ギリシャ神話から抜け出してきたような一人の男が、歩道からこちらを心配そうに見つめている)
「えっ!」目を見張りその男を見入るBさん、目と目が合った!絵画で見たキリストのような顔で
白い服で全身を覆っている、足にはサンダルのような靴を履いていた。
変だ?周りに人が居るのに誰も気づいていない!人が数人歩いているのに誰一人、その人?に
視線を向けない・・

「ププ~」後の車にクラクションを鳴らせれて、「はっ!」とわれに返ると信号は青なのにしばらく停まってたらしい、
ゆっくり発進しながらバックミラーで見るとまだ同じところに立ち尽くしこちらを見ている。
ええっ!「あの人は誰!なぜ他の人に見えないの?」・・もしかしたら神様?
後日、Bさんからこの話を聞いたとき、私は「その頃に何か重大なことが有ったんですか?」と質問してみた・・
コクリとうなずき、実はあの日、苫小牧の○○病院で検査した帰りだったんです。
半年ほど前から腹部の調子が悪く、千歳の婦人科で診察してもらったところ子宮筋腫がかなり進んでいるらしく・・
医者に「筋腫が人のこぶし位に大きくなっています、放っておくと癌化することも有ります!」と言われ手術するため苫小牧の大きな病院を紹介されたとの事でした・・
でも大の病院嫌いなBさんは悩みました、入院なんて嫌だ!ましてお腹を切るなんて!・・
なんで私がこんな目にあわなくちゃならないの・・「ヤッパリ、手術は絶対イヤだ!」

もう、(癌になって死ぬんなら、それでもいいわ!)
気持ちが落ち込みうつ状態になっていました・・
しかし、あの日に神様を見てから私の気持ちに変化が起きたのです・・
(神様が見守ってくれるのなら、手術を受けてみよう)こう思うようになりました。
そしてBさんは無事に手術を受け元気そうな顔で、こう話を続けてくれました・・
「手術後に医者から言われたんです、やはりお腹から摘出した筋腫は癌化していたそうです」
Bさんは確信に満ちた表情でこう話してくれました。「そのまま放っておけば今頃は大変なことになっていました、神様が守ってくれたのは間違いありません!」
・・話を聞き終わり、(やはり、守護神を見る人がいるのか)心の中でつぶやいた。