天国へ行った話し・・完結!

天国に来てからどのくらいの時間が経ったのだろう・・

 

まったく時の観念も無くなり、生前の記憶も無く、もう自分がどんな人間だったのかも解らない。

 

・・白く柔らかな霧が体の周りに漂い、明るくも暗くもない、音もなく匂いもない、

 

腹も減らなければ喉も渇かない、動物としての欲望が消えうせてしまい、意識だけの世界である!

 

これが、もしくは霊魂と言うものかもしれない?

 

常に幸福感に満たされている!

 

服はいつの間にか白くサラサラした古代ローマ人が着ていた感じに変わっていた。

 

3年前に死んだ親友二人に案内された所は、雲で出来たレストランのような感じで中は全て乳白色、

 

テーブルには三人分の食事の用意がしてあり心地のよいイスに座る、Mさんが言った、

 

「さあ、食べながらこれからのことを話そう」・・と、その時でした!

 

お~ぃ お~ぃ、と、どこからか聞いたことのある声が聞こえてきたのです。

 

あれっ・・よく見ると私の座っているスグ横の雲が明るくなってきた、

 

おおっ!雲に丸く1メートルほど穴が開き、下からが差し込んでくるでは有りませんか?

 

その様子を見て、二人の死んだ親友は「穴から下は下界だから、絶対見てはダメだ」と言います。

 

見るな!と言われれば、よけい見たくなるのがパパさんの魂であります(死んでも直らない?)笑

 

イスから立ち上がり身を乗り出して穴を覗くと・・10メートルほど下からこちらを見上げ、

 

何か叫んでいる女の人が見えます!そしてどんどん顔が近くなって行きます、そしてこちらを見て

 

目が合ったとき、「そんな所にいたら死んじゃうよ!」

と叫びました。

 

ああ~ぁ、顔を思い出した!その瞬間!

 

魂の中で稲妻のような光と共に今まで完全に忘れていた記憶がクルクルと回転しながら

魂にインプットされて来たのです!

 

その様子を天国の親友は黙って見ていました・・そして、ぽつりと一言、

「まだ早かったのか」

 

突然、懐かしい思い出と共に生きることへの執着心が湧き出しどうにも抑えられなくなり・・

 

「やっぱり、帰るわ」と二人に向かって言うと、二人はにっこり笑い

 

「待ってるよ、いつでもおいで」・・

 

 

そして、天国の門は閉ざされました・・

 

2017年06月17日